トラベルバブルとは!?海外旅行再開のカギを握る方策です。

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航空業界・旅行業界を救う!?

『トラベルバブル』というワードを最近耳にしたことはないでしょうか。
新型コロナウィルスの世界的な感染拡大の影響を受けて、航空業界や旅行業界は危機的な状況に直面しています。
日本ではひとまず新規感染者数が減少に向かっていますが、それでも航空業界、旅行業界に残した傷跡は余りに深く、その再興は非常に困難です。
この困難な状況を打開する方策として「トラベルバブル」という考え方が浮上してきたのです。
今回はトラベルバブルについてお伝えします。

トラベルバブル

トラベルバブルとは何でしょうか。
トラベルバブルとは、特定の条件が満たされたエリア・枠組みの中だけで人々が自由に行き来できるようにすることです。
バブル(泡)で包まれた中でだけ人々が行き来するというイメージです。
実際の施策としては、複数の国や地域をバブルに見立てて、そのエリアの中では自由に旅行ができるようにして行こうという構想を指しています。

バブルはニュージーランド発?

バブル(泡)という言葉が使われているのは、ニュージーランドジャシンダ・アーダーン首相が発した言葉からの様です。
ニュージランドは早い時期からの徹底した感染防止措置によって、ここまで感染拡大を封じ込めてきました。
2月3日の時点でトランジットを含む中国からの外国籍人の入国を禁止し、ニュージーランド国籍を持つ人やその家族についても14日間の自主隔離を求めています。
こうしたニュージーランドの対策を率いたのが他ならぬアーダーン首相です。
ニュージーランドは3月25日に都市封鎖(ロックダウン)に踏み切ったのですが、その際アーダーン首相が国民向けて発した言葉の中で”Stay Home!”ではなく”Stay in your bubble”という表現で外出の自粛を呼びかけました。
”Stay in your bubble”直訳すると「あなたの泡の中に留まりなさい」ですね。
Stay homeだとやや孤立する印象を持ちかねないので、敢えて泡の中にいて下さい。
泡の中でなら自由に過ごして下さい。という意味合いを含めてこうした言い回しにしたようです。
この言葉はニュージーランド国民に浸透し、国外にも広く拡散されたのです。
そしてこのbubbleを使って造られたのがトラベルバブルというワードになります。

豪州との連携

トラベルバブルは自国と同じ水準の感染封じ込みに成功している国同士で協定を交わし、協定国間では人との動きを緩和していこうという考え方です。
ニュージーランドとオーストラリアの間には元々「豪州ニュージーランド経済協力協定(ANZCERTA)」というEUとも似た地域間協定が結ばれています。
こうした関係性を軸に両国間では現在国境を開放して地域間の行き来を自由にする「トランスタスマン・バブル構想」というトラベルバブルが検討されています。
すべての準備が整えば8月中にはトラベルバブルが実現される見込との報道も複数のメディアで報じられています。

欧州でも

あるいは欧州でもエストニア、ラトビア、リトアニアのいわゆる「バルト三国」がトラベルバブルを具体的に検討しています。
バルト三国はいずれもEUに加盟しており、EU内の人や物の移動を自由にするシェンゲン協定にも参加しています。
新型コロナの感染拡大の為に、シェンゲン協定は現在実質的に無効化されていますが、コロナ収束後の経済復興に向けて人の移動は大きな影響力を持ちます。
そこでバルト三国内をいち早くトラベルバブルとし、互いに行き来できるエリアにしようと考えているのです。
既にトラベルバブルは一部で実現されており、5月15日からはエストニア、ラトビア、リトアニアの国民に限って三国間の移動が認められています。

日本では実現できるか

豪州ーNZ間バルト三国のトラベルバブルはコロナ対策から更に一歩踏み込んで、それこそパスポート無しでも行き来できるような経済圏をイメージしています。
それに対して日本ではそもそもパスポート無しで入国できる国や地域は無く、その意味では同じようなトラベルバブルの実現は困難です。
但し特定の国と協定を結び、その国との間で人の行き来を認めようという動きは合理的であり、外務省も既に各国とそうした調査・交渉を進めています。

台湾が理想的だけど…

もっともイメージしやすいのが台湾との協定締結です。
台湾は今回の新型コロナ感染対策で、ここまで世界でもっとも封じ込めに成功している地域の1つであることは確かです。
日本にとってはもっとも感染拡大リスクの少ない相手と言えるでしょう。
但し台湾にとっては必ずしもそうではありません。
日本の感染対策はここまで成果をあげていると思いますが、台湾に比べると見劣りすることも事実です。
協定締結の前に日本側の一層の対策強化や検査体制の拡充が求められることになりそうです。
また中国本土との政治的な問題も抱えることになり、タフな調整が求められることになりそうです。

ベトナムも有望

ベトナムも感染封じ込みに成功している国です。
実際日本とベトナムとは政府間での情報交換・交渉も進められているようです。
ビジネスでの渡航制限解除の動きもあり、交流再開への動きが進んでいるようです。
韓国との交渉なども重要になってくるでしょう。

米国との交流をどうするか

トラベルバブルの話とはややズレてしまいますが、中国米国との交渉も無視できない事項です。
中国は新規感染者を抑え込んでいる実績を盾に交流再開を迫ってくると考えられますが、巨大な人口を考えると不安は拭えません。
米国も日米関係を軸に交流再開を求めてくることが容易に想定できます。
しかし米国は現在世界最大の感染国でもあり、日本としては簡単にはいそうですか、とは言えない状況にあります。
いずれにしても政治的な問題で感染阻止という本来の目的がなし崩しにならないことを願っています。

まとめ

トラベルバブルは地域経済圏のような形で人の交流を再開するブロックを作ろうという動きです。
いきなり世界中が一斉に交流を再開するのは無理なので現実的な対応策だとは思います。
ただ日本が実現していく上では米国、中国といった大国や韓国といった国との政治的な交渉も絡んで簡単ではありません。
本来の目的を損なうことなく、何よりも経済と感染防止のバランスを考えて進めて欲しいと思います。
今日も最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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