航空業界に久々の朗報!?大韓航空がサプライズの黒字転換です。

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韓国からのサプライズニュース

現在、日本はもちろん、世界中の航空会社が厳しい経営状況に陥っています。
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の影響を受けて、航空旅客の需要が激減し、各国で出入国制限が実施されたことで運行路線自体も縮小を余儀無くされてしまいました。
国内・国外を問わず、航空会社は殆ど例外無く記録的な赤字や利益の減少に見舞われています。
ところが航空業界を襲ったこの絶望的とも言える状況の中、韓国から驚くべきニュースが発信されました。
大韓航空の4~6月期の業績が黒字に転換したというポジティブニュースです。

JALもANAも苦闘

需要の大幅な落ち込みは、日本の航空会社の業績にも深刻な影響を与えました。
2020年4〜6月期の損益は、日本航空(JAL)が937億700万円の赤字、ANAホールディングスが1,088億円の赤字となるなど各航空会社とも記録的な赤字を記録しています。
海外の航空会社においても深刻な状況であることは変わらず、主要な航空会社は軒並み四半期業績が赤字に陥っています。
経営不安どころか、航空会社の経営破綻も相次いでいます。
4月21日にはヴァージン・オーストラリアを傘下に抱えるヴァージン・オーストラリア・ホールディングスが任意管理に入ったと報じられました。
5月19日にはタイ国際航空が破産申請を認められ事実上の経営破綻に陥っています。
更に8月4日には、英国のヴァージン・アトランティック航空が米国で米連邦破産法の申請をしています。

大韓航空が黒字転換!!

こうした中、韓国の航空会社最大手・大韓航空が8月6日に発表した4~6月期決算の内容は衝撃を持って受け止められました。
大韓航空の4~6月期の営業利益が1,485億ウォン(約134億円)の黒字と発表されたからです。
営業利益だけでは無く、純利益でも1,624億ウォン(約146億円)の黒字計上となっています。
4~6月期の業績を発表した世界の主要航空会社で、ほぼ唯一の黒字と報じられています。
黒字というだけでも凄いことですが、加えて大韓航空の前年同期の営業利益が1,015億ウォン(約91億円)の赤字、前期(1〜3月期)も566億ウォン(約51億円)の赤字だったことを考えると、本当に驚異的な黒字転換という他ありません。
新型コロナウイルスの影響で、主力の国際線の運行路線が111路線から30路線未満に激減するという状況下での黒字転換は、航空業や証券業界に強力なインパクトを与えました。

大韓航空黒字化の要因

四半期業績とは言え、大韓航空はどうしてこの時期に驚異的な黒字転換を達成できたのでしょうか。
主な理由としては

●燃料費価格の低下
●貨物への大胆なシフト
●人件費の圧縮
●政府の支援

といった項目が挙げられます。

燃料費価格の低下

運用コストの削減に大きく貢献しているのが航空機の運用コストに占める割合の大きい燃料費の価格が大きく下がったことです。
世界経済の減速に伴って原油価格が低迷し、燃料代の調達コストが削減できたことで、直近の業績に大きく寄与しました。
但しこれはもちろん大韓航空に限ったことではありません。

貨物への大胆なシフト

大韓航空の4~6月期業績を見ると、売上高は前年同期比44%減の1兆6,910億ウォン(約1,522億円)とやはり大きく落ち込んでいます。
旅客輸送の落ち込みは深刻で、前年同期比で9割以上減少しています。
但しそうした状況の中で貨物部門の売上高は1兆2259億ウォン(約1,103億円)を記録し、ほぼ倍増となりました。
通常は売上高の2割程度しかない貨物事業で、7割以上を占めたことになります。
臨時の貨物便や医療用品など防疫物資の輸送などによって、収益性も高めることができました。
貨物の輸送能力を増やすため、旅客機の座席を外して貨物機として活用するなどして供給能力を高めています。
この大胆な「貨物シフト」への転換の成功が大韓航空の利益を大きく押し上げました。

人件費の圧縮

貨物シフトと並んで大きかったのが人件費の圧縮です。
韓国の航空会社は、新型コロナの問題が表面化する前から厳しい状況に置かれていました。
迎撃ミサイルシステム(THAAD)配備問題を端にした中韓関係の悪化や反日運動などにより、ドル箱だった中国路線、日本路線の需要が激減していたのです。
ただその分、大韓航空では早い時点から運営コストの削減に手をつけることになりました。
2019年10〜11月には、役員数も3割削減すると共に、機内職の乗務員を対象に「無給休職」を募集しました。
2020年4月からは、機内職の乗務員全員を対象に「有給休職」を実施しています。
今回はローテーション方式で休職を実施し、既に7割の乗務員が休職したということです。
こうした圧縮策の積み重ねによって、大韓航空は人件費などの営業コストを前年同期の半分近くにまで引き下げています。

政府の支援

韓国政府の支援も重要なファクターです。
大韓航空の場合は有給休職者に通常賃金を支給しており、支給分の90%を政府が「雇用維持支援金」として6か月間支援します。
大韓航空では財務基盤の確保も喫緊の課題ですが、これについても1兆ウォン規模で「基幹産業支援金」を申請する予定です。

前途は多難

こうした懸命の対策によってサプライズとも言える業績回復を果たした大韓航空ですが、その前途は依然として厳しいと言わざるを得ません。
大韓航空では機内食事業機内免税店事業といった事業の売却を既に決めており、他にも資産売却を進めています。
増資による資金調達の計画も進めていますが、旅客需要の回復は見通しが立たず、貨物部門の業績維持も簡単ではありません。
新型コロナ収束後に備えて資源を維持しながら現在の状況を乗り越えるというのは、本当に大変なことなのです。
加えて大韓航空には経営権を巡る騒動があります。
現会長に対して実姉側が経営権を主張して紛争になっている問題で、実姉とは「ナッツリターン事件」の主役・趙顕娥氏です。 

まとめ

世界中の航空会社が危機的な状況に置かれている中で、大韓航空の黒字転換は大きなサプライズでした。
久々に航空業界に生まれた前向きなニュースでもあり、他の航空会社でも勇気づけられた人は少なくないと思います。
もちろんこれはドラスティックな対策を実施した結果でもあり、現場の人の負担は大変なことと思いますが、この苦境を乗り越えて韓国の航空業界を引っ張っていって欲しいと思います。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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