微笑みの国
タイでは新型コロナ問題に対抗する厳しい制限が少しずつ緩和されて市民生活が落ち着きを取り戻しつつあります。
その一方で観光業や旅行業などは深刻なダメージを受けており、厳しい状況に置かれています。
5月にはタイ国際航空の経営破綻というショッキングなニュースも流れています。
ただこの件については単に新型コロナの影響とは言い切れない話のようです。
タイの状況はどうなっているのでしょうか。
タイ国際航空の破綻
2020年5月19日、タイ航空(Thai Airways)が事実上の経営破綻に陥りました。
タイの中央破産裁判所に破産法適用の申請が行われたのです。
タイ航空はタイのナショナルフラッグキャリアであり、名実共に国家を代表する航空会社でしたが新型コロナ問題で航空需要の激減に直面し、経営に行き詰まってしまいました。
当面は運航を継続しながら経営再建を目指すとのことです。
経営はコロナ以前から悪化
新型コロナの影響で、タイに限らず航空業界全体が非常に厳しい状況に直面しています。
但しタイ航空の場合は、新型コロナ問題以前から何度も経営不振に陥っており、新型コロナだけが原因ではありません。
タイ航空の業績は2017年に約21億バーツの赤字に転落しています。
赤字はその後も増え続け、新型コロナ問題が影響を与える前の昨年末時点で、負債総額は既に約2,450億バーツ(約8,200億円)にまで膨れ上がっていました。
経営体にはいつ破綻してもおかしくない状況にあったのです。
タイの国営企業
それでもタイ航空はタイのナショナルフラッグキャリアであり、タイ財務省が約51%を出資する国営企業です。
国民もタイ航空自身も本気で会社が潰れるとは思っていなかったようです。
経営危機に際し経営陣も飛行機の売却やリースの打ち切り、人員削減などの再建計画を立てていました。
ところが会社の再建計画にタイ有数の組合組織として知られるタイ航空労働組合が強硬に反発し、タイ航空を天下り先としている軍や官僚たちも介入して計画を大幅に縮小させてしまいました。
当然債務は十分な削減に至らず、苦境が続いた中で新型コロナ問題にトドメを刺されてしまった形です。
タイ航空では以前は取締役に短期間でも就任すれば、ファーストクラスやビジネスクラスの航空券を無料で手にできる特権があったといわれます。
高級官僚の天下り先としては魅力的だったに違いありません。
そうした馴れ合いの構造が経営破綻の最大の原因といえるでしょう。
タイの新型コロナ感染問題
もちろんタイ国内の新型コロナ問題が大きな影響を与えた事は間違いありません。
タイでは政府が2020年3月26日から非常事態宣言を実施しました。
タイでは2010年と2014年にも過激化したデモの鎮圧などの目的で非常事態宣言が発令されていますが、今回は感染症拡大防止のための措置です。
非常事態の前からバンコクや近郊地域の大型商業施設やレストランなどが一斉に閉鎖され、多くの人が解雇や長期休業に追い込まれました。
物価の高いバンコクから地方に戻ろうとする動きなども顕在化し、地方でのクラスター発生の可能性が高まる状況にもなっていました。
ムエタイでの集団感染
タイでは2月29日に最初の死亡者が出て、以降大きなイベントやコンサートなどが相次いで中止されていました。
そんな中、3月6日に開催された格闘技「ムエタイ」の試合会場での集団感染が大きな問題となりました。
ムエタイは、タイで人気の店頭ある格闘技であり、政府公認の賭博でもあることから高い人気を誇っています。
この日は全10試合に数千人の観客が押し掛け、立ち見もでる満員状態となりました。
この後3月23日までに選手や関係者など128人が集団感染してしまう事態になってしまいました。
新型保険騒動
タイでは新型医療保険の騒動もおきました。
2020年2月後半から新型コロナウイルスの治療向けに新型医療保険の販売が一斉に始まっりました。
大手保険会社約10社が販売を開始し、2週間で数十万件に上る保険が契約される人気となりました。
ただ中には1人で多くの保険会社の新保険に加入して、人混みに出向いてウイルスに感染しようとする者まで現れました。
こうした予想外の事態に当局は保険会社に支払の厳格化を指示し、一部では保険金の支払停止もおきています。
補償は少ない
タイ政府は常に3月18日に人が集まる学校などの教育機関やスポーツ施設、映画館やマッサージ店などの娯楽施設を一斉閉鎖。
3月22日には持ち帰りや宅配を除く飲食店や商業モールの全店営業停止を指示しました。
ベトナムなどに比べると初動はかなり遅かったと言わざるを得ません。
当初、タイ政府は封鎖に際して、解雇や長期休業を余儀なくされた従業員への休業補償を
は殆ど考慮しておらず、物価の高いバンコクを捨てて大勢の人が故郷へ移動するという状況を生み出してしまいました。
制限は緩和
ただ後手後手に回っていた対応策も次第に効果を生み、感染者が減少してくるようになりました。
タイ政府は5月17日から夜間外出禁止措置の1時間短縮を発表しました。
併せて施設や活動に関する規制緩和等の内容を含む決定も発表しました。
再拡大への危機感は持ちながらも状況は改善に向かっているようです。
まとめ
タイは観光立国でもあり、新型コロナ問題は経済にも深刻な影響を与えています。
ただそんな中でも経済は少しずつ活気を取り戻しつつあるようです。
経営破綻したタイ航空も運航を維持しながら再建を進めるということで、より足腰の強い航空会社になってくれるかも知れません。
観光資源も本当に多い国でもあるので、お互いに早く正常化して、気にせず旅行できるようになりたいですね。
今日も最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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