むしろこんな時だからこそです
外出さえ自粛しなければいけない時に、飛行機のマイルを貯めようなどという気持ちにはならないという方も多いと思います。
ただこの新型ウィルスの問題がいずれ収束すると信じるのであれば、マイルを貯めるのも一つの方策です。
飛行機に乗らなくてもマイルを貯める方法はいくらでもあります。
そして今こそ貯めるべき理由もあるのです。
国際会計基準(IFRS)の適用によってマイレージプログラムが大きく変わる可能性がる為です。
空席に乗せても一緒!?
実は国内の会計基準ではマイルやポイントなどの処理方法について明確な基準が定められていないという指摘がありました。
その為に航空会社がマイレージをどのように会計処理をしているかについては開示されていない場合が多いのです。
元々マイルは飛行機を空席のまま飛ばすのであれば、特典として座席を提供しようという発想でスタートしたサービスなので、航空会社にとっては殆どコストの掛からない特典サービスと考えられていました。
利用者がマイルを特典航空券に交換して利用する場合、航空会社にとっては自社運行便の空席利用です。
空席に無料で人を乗せても運航費用の殆どを占める固定費は変わらない為、航空会社はそのコストを殆ど考慮する事なく処理する事ができました。
その為、特典航空券以外の交換商品(サービス)との交換量を推定して一定の比率を掛け、その商品(サービス)の提供に掛かるコストだけを引当金として計上するのが一般的な方法だと思われます。
国際会計基準への移行
ところがこうした状況が大きく変わろうとしています。
全ての業界の会計基準が、2021年4月から強制的に国際会計基準(IFRS)を適用する事が決まっているためです。
JALは2021年3月期、つまり2020年4月から国際会計基準を任意適用することを発表しています。
ANAも2021年4月からは国際会計基準を適用する筈です。
国際会計基準に移行するとマイレージプログラムの会計処理が格段に厳しくなると考えられます。
売上が減る!?
国際会計基準では、売上を商品売上とマイルが将来もたらす売上減とを分ける必要があります。
5万円で航空券を販売してそこに5,000円相当のマイルを付与した場合、決算期内にマイルが消費されないと、売上には4万5,000円しか計上できなくなるのです。
付与したマイルが消費された時点、あるいはマイルの期限を迎えた時点で初めてマイル相当分の売上が計上されるのです。
貯めにくく、使いやすくなる!?
こうした会計上の基準変更は一般の利用者にとっては余り意識しない部分ですが、航空会社のマイレージ戦略には大きな影響を与えます。
今後、特に2021年4月以降は、ANAやJALのマイルは「貯めにくく」「使いやすい」ものに変わって行く可能性があるのです。
マイルが使いやすいものに変わっていく事は間違いありません。
航空会社にとっては早く使って貰って売上を積み上げ・確定させたい特典になるからです。
近年、ANAやJALの特典航空券は中々希望の座席が取れないという事が利用者側の不満となっていました。
特にANAの国際線特典航空券などはこの傾向が顕著で、繁忙期のハワイ線などは1便に対して特典航空券の枠が数席しか無いと言われた事もありました。
このような状態が続くとマイレージプログラムの求心力も低下していってしまいます。
こうした点は改善されて、より使いやすい制度になっていくと予想されます。
JALの対策
実際、JALでは既にマイルを特典航空券に利用できる方法の拡大を進めています。
繁忙期には特典航空券の枠が埋まっていても、より多くのマイル数を使う事で座席を取る事ができる制度(特典航空券PLUS)が始まっています。
あるいは非常に少ないマイルで飛行機に搭乗できる「どこかにマイル」を拡充し、更に一定のマイル数を追加すると行き先を絞込める制度を設定するなど利用拡大に動いています。
ANAの対策
一方のANAも特典航空券の利用拡大に動き始めています。
2019年12月からはANAマイルをANAトラベラーズホテルズの宿泊料金にも充当できるようになりました。
人気のハワイ路線にも超大型のエアバスA330 (550席)を投入した事を機に特典航空券枠を拡大しています。
貯めにくくなるとは?
使いやすくなるのは良いのですが、貯めにくくなるというのはどういう事でしょうか。
前述の様に、航空会社にとってマイルは売上や費用の影響を余り気にせずに発行できる”美味しい”特典だったのですが、国際会計基準に以降すると売上にも影響するし、費用も厳格に運用を迫られる事になります。
その為にこれまで程気軽に発行する事ができなくなる可能性が高いのです。
今迄の様にマイルを大盤振る舞いする事は難しくなり、発行数が絞られてくる可能性があります。
有効期限が短くなるかも!?
以前韓国の航空会社が有効期限を付けたように、有効期限を短くする方法も考えられます。ただ日本の航空会社のマイルの有効期限は3年(韓国は10年が一般的)と長くはないのでこれを短くするのは難しいと思います。
やはり料金による積算率を引き下げるなどの対応が考えられるのです。
提携マイルについても同じ様に付与条件が厳しくなったり、積算率が下がったりする可能性があります。
今こそ陸で貯めましょう
こうした流れを考えると「今は陸上でマイルをせっせと貯める時」だと考えられるのです。
今は大変な時期で航空会社側もマイルの付与を厳しくできるような状況ではありません。
ならば飛行機に乗れなくても今はマイルをどんどん貯めて、収束した後の使いやすい時に備えるというのが案外賢い選択になるのではないでしょうか。
新型ウィルスが収束した時には、たくさん旅行を満喫して下さい。
今日も最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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