超音速旅客機
最近はどうしても新型コロナウィルスの影響に関わる話題が多く、何とは無しに暗いムードになってしまうことも少なくありません。
でもたまにはそんな目の前の厳しい現実からぱっと離れて、ちょっと夢のある話題を紹介したいと思います。
今回紹介するのは、日本航空(JAL)も提携している米国のBoom Technology社が開発する超音速旅客機がいよいよ実証段階を迎えた、という話です。
実現すると東京ーシアトルを4時間半、東京ーサンフランシスコ間を6時間で結んでしまうと言います。
気になる運賃も思ったよりは安くなりそうですよ。
Boom Technology社
Boom Technology(ブーム・テクノロジー、以下Boom)社は米国・デンバーに本社を置くベンチャー企業です。
Boom社は、アマゾンやグルーポンなどで要職を歴任したブレイク・ショール氏(現CEO)が2014年9月に設立した会社です。
ショール創業者兼CEOは幼いころから航空に興味を持ち、自らパイロットの資格も獲得している人物です。
そんなショール氏が創業したBoom社では、現在「超音速旅客機」の開発を進めています。
超音速旅客機の開発に先立って、Boom社では現在、超音速飛行の技術実証機「XB-1」が開発の最終段階にあります。
Boom社の発表によれば、既にに数十回の構造実験や数度に及ぶ風洞実験を実施しています。
間もなくXB-1の機体の組み立て・飛行試験が始まり、2020年10月7日には完成披露イベントを行います。
新型コロナウイルスの影響もあり、披露イベントはオンラインで開催される見込みです。
Boom社はXB-1機については2021年の飛行を目指しています。
時速2000km超えの高速です‼
Boom社は、超音速飛行技術を確立して史上最速の旅客機を実現するプロジェクトを進めています。
その速度は洋上の巡航速度でマッハ2.2(時速約2,450km)という驚異的なもので、一般的なジェット旅客機の2.5~3倍にもなるようなスピードです。
Boom社は高速飛行技術の実証機XB-1によってマッハ2.2での飛行技術を検証し、それを基に超音速旅客機「Overture」を開発します。
Boom社ではこの超音速旅客機Overtureを2020年代半ばまでに実用化する計画です。
東京ー西海岸が4〜6時間!?
現在東京から米国のシアトルまでは約8時間半、サンフランシスコまでは約10時間半掛かります。
Boom社の計画では、シアトルまで実に4時間半、サンフランシスコまでは6時間で結びます。
これが実現すると、もはや米国渡航の概念さえ大きく変わる可能性があります。
現在は時差の関係もあって、最低3日掛かる東京ー米国間の行き来の時間が大きく短縮されて、もはや現在のベトナムやタイへ行く時間とも差が無くなります。
そうなれば、それこそ週末アメリカ旅行(本土旅行)だって可能になってしまうのです。
日本航空も提携
Boom社のプロジェクトには日本航空やヴァージングループも出資・提携をしています。
日本航空(JAL)は2017年12月にBoom社と提携し、Boom社に1,000万ドルを出資しています。
パリで開かれた航空ショーのブースでは、既にJAL仕様のOvertureの模型が展示されていたと言うことです。
このBoom社との提携によって、日本航空は超高速旅客機20機分の優先発注権を確保しています。
Overtureが旅客機の供給を開始した時に、日本航空がいち早く飛行機を手に入れることができるということです。
気になる運賃は!?
超高速旅客機のOvertureの機体は、客席はビジネスクラスのみで座席数は55席〜75席を想定しています。
客室用のシートは、JAL国際線のファーストクラスと同じメーカーが開発を進めています。
さて気になる運賃ですが、現在のビジネスクラスの料金を基準として、プラスアルファ程度の運賃を実現できる運航コストを目指しています。
ファーストクラスといわれると流石に一般市民には手が出ない印象もありますが、ビジネスクラス程度といわれると普通の人でも頑張れば何とかなりそうな気もします。
ましてや本サイトはそもそも「マイルを貯めて旅行を楽しもう」という趣旨のサイトです(最近ではマイルと関係無い情報も多いですが…)。
たくさんマイルがあれば、Overtureに乗ってひとっ飛びということも夢ではなさそうです。
超音速機が抱える問題点
超音速で飛ぶ旅客機の計画自体はBoom社が初めてのものではありません。
過去には英仏が共同で実に1960年代に開発した超音速旅客機「コンコルド」の事例があります。
コンコルドは美しいフォルムの機体で人気を博しましたが、実際の運行が始まると数々の問題が持ち上がりました。
特にコンコルドの機体が発する大きな騒音の問題は各地の空港周辺地で深刻な問題となりました。
また、推進力を上げるためにエンジンの排気に燃料を吹き付けて再度燃焼させるアフターバーナーの仕組みが、燃費を悪化させる上に、環境への負荷が大きいことも問題になりました。
コンコルドはこうした問題を克服することができずに導入が落ち込み、2003年には全機が営業飛行を終了しています。
Overtureの技術
Boom社の開発においては当然これらの問題の克服を念頭において開発が続けられています。
実証機のXB-1ではアフターバーナーを使ってマッハ2.2の実現を目指しますが、旅客機のOvertureでは新エンジンによりアフターバーナーなしでの実現を目指します。
ターボファン付きのエンジンでによってアフターバーナーなしでもマッハ2.2を実現できるということです。
エンジンを3基にすることで、飛行の信頼性向上とともに離陸時の騒音低減を図ります。
それでも尚残る音の問題を回避する為に超音速での飛行は洋上に限る予定です。
Boom社のプロジェクトについては専用サイトを参照下さい。
まとめ
超音速旅客機Overtureは米国への週末旅行でさえ実現させてしまう「夢の旅客機」です。
でもそれは既に夢では無く、実現に向けて着々と計画を進捗させています。
日本航空(JAL)が早い段階からプロジェクトと提携していたことで、JAL路線の実現する可能性が非常に高く、日本の人も早い段階から恩恵を受けることができそうです。
ビジネスクラスの運賃は出せないという人も、マイルなら貯められるかも知れません。
マイルを貯めて超高速旅客機に乗るというのも良い目標ですよね。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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