羽田シフトが進行
羽田空港が国際線の大幅拡大を図り、米国の大手航空会社デルタ航空が成田路線からの撤退を決めるなど成田空港を巡る情勢は厳しさを増しています。
しかしながら成田空港側も黙って衰退を受け入れる訳ではありません。
国際空港としての生き残りを掛けて、思い切った対策を仕掛けています。
羽田、関西とならぶ日本の空の玄関・成田空港はどの様に変わろうとしているのでしょうか。
その動きを紹介します。
羽田空港の国際線増便
2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催を前に東京の都心上空を飛ぶコースの飛行が解禁されました。
この解禁によって羽田空港の発着枠拡大が可能になり、羽田空港では国際線の発着便数が一気に100便(50枠)も増加する事になりました。
今回拡大した発着枠の内、半分は日本のANAとJALに割り当てられ、ANAは13.5枠(13.5 往復)、JALは11.5枠(11.5往復)国際線が増加する事になりました。
ANAの羽田ーミラノ路線、羽田ーイスタンブール路線などが新たに就航する他、JALの羽田ーホノルル路線も復活するなど国際線の利便性が大きく向上する事は間違いありません。
基幹空港の発着枠が大幅に増枠するチャンスは滅多にない事なので、両航空会社とも路線戦略を練り上げて魅力的な路線を投入しています。
デルタ航空の羽田シフト
海外の航空会社に目を向けると、よりドラスティックに戦略を展開する航空会社もあります。
航空業界に大きなインパクトを与えたのがデルタ航空の”成田からの撤退”です。
今回羽田空港に5枠の発着枠を得たデルタ航空は、東京発着路線を全て羽田路線とし、成田空港路線からの撤退を表明しました。
デルタ航空は東京路線を集中する”羽田シフト”に踏み切った訳です。
着陸料3年間無料
成田国際空港会社(NAA)は、2020年から長距離国際線の着陸料を3年間無料にする「国際線長距離ボーナス」をスタートさせました。
一定の条件を満たした新路線を対象に着陸料を優遇するもので、航空会社に向けたインセンティブを武器に路線を誘致しようと言うものです。
この制度の対象となるのは2022年3月31日までに就航する成田への新規路線で、成田から7000キロ以上の距離の定期旅客便です。
元々新規路線に対しては1年目は着陸料無料とする優遇処置がありましたが、この無料期間を3年間に延長します。
成田空港の着陸料は国際的には高いと言われている為、航空会社へのメリットは相当大きいものになります。
テルアビブ路線
東京から7,000キロとなるとパキスタン以西、オーストラリア・ブリスベン以南、ハワイ以東が該当します。
初就航でも既に他の航空会社が乗り入れている路線は対象外となります。
成田国際空港会社としては、北米、中米や中東、欧州などからの新規就航路線の誘致を期待しています。
既にエルアル・イスラエル航空(ELY/LY)のテルアビブー成田路線が2020年3月11日に就航する事を決めており、同制度の最初の適用事案となる見込みです。
成田の誘致戦略が続々
成田国際空港会社では「成田ハブ化促進インセンティブ」と言う制度も整備しました。
既存路線の増便に対して優遇する「増量割引」や朝時間帯出発の新路線を支援する「朝発ボーナス」も既に導入しています。
これらの制度のプロモーションを航空会社向けに展開し新路線の誘致を進めています。
JALは成田拡充
JALでは既に2020年の成田路線について、
成田-ウラジオストク線(2月28日~)
成田ーベンガルール線(3月29日~)
成田-サンフランシスコ線(再開、3月29日~)
成田-シカゴ線(再開、2月15日~)
成田-グアム線(増便、7月1日~)
と路線の拡充を決めています。
JALでは、これに加えて2020年度内に成田空港を発着する国際線路線を更に3~5路線拡充する方針を示しています。
JALが100%出資して設立された中長距離LCC「ZIPAIR」も、2020年5月に成田からバンコクへの路線を就航させる予定です。
まとめ
羽田空港の発着枠拡大を機に、日本の空港間競争は一気に競争を激化してきた様に思われます。
ただ成田はいっぽうてきに路線を奪われるだけでは無く、新たな戦略を持って空港を更に充実させていこうとしています。
具体的には長距離路線や近距離LCCをそれぞれ拡充させて新しい成田空港を確立させる事になる様です。
羽田も成田も路線が充実して、選択肢が多くなるのが利用者にとってはありがたいですよね。
今はウィルス問題などもあり難しい時期ですが、乗り越えて素敵な空港になって下さい。
今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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